35歳「今更恋をする」第8話

前回のあらすじ

これまでずっとあんずの傍にいてくれたチョンホが、あんずから離れることを決意。

\ 私の友達もココで出会ってました✨/

目次

第8話「それぞれの道へ」

scene 1

意外だった。

まさか、チョンホが
こんなことを言うなんて。

「なんで……?」

私が聞くと、
チョンホは少し視線を落とした。

「日本語能力試験、
どうしても今年中に合格したくて」

少し間を置く。

「あんずもわかってるだろうけど、
今のままだと少し厳しい」

「本腰入れて勉強したいんだ」

それから
少しだけ苦笑いして続けた。

「それに……」

「俺、大勢の人と一緒にいるの苦手なんだ」

「これから人が増えることを考えると、
ちょっと息苦しくなってきてさ」

チョンホはそう言って、
ベンチから立ち上がった。

本当は、
理由はそれだけじゃない。でも、その言葉は
口には出さなかった。

scene 2

どうしよう。

チョンホがいなくなるなんて、
考えたこともなかった。

胸の奥が、
急にざわざわしてくる。

不安だ。
不安すぎる。

でも——

私は、
チョンホに日本語を教えてきた立場だ。

日本語能力試験にも、
絶対に合格してほしい。

ここで私が引き止めたら、
きっと後悔する。

チョンホの邪魔だけは
したくない。

そう思ったのに——

気づいたら、
私もベンチから立ち上がり

チョンホの服の裾を掴み、
言葉が口から出ていた。

「でも…」

チョンホがふりかえって私の顔を見る。

そして私は困ったように笑った。

「チョンホがいないと、私…」

そこまで言って、
自分でもびっくりした。

視界が、急ににじむ。

「あれ……?」

気がついたら、
涙がこぼれていた。

慌てて手の甲で拭う。

「ごめん…」

自分でも、
なんで泣いているのかよくわからない。ただ、胸の奥が
ぎゅっと締めつけられるみたいだった。

scene 3

チョンホは、
しばらく何も言わなかった。

それからゆっくり顔を上げて、
私をまっすぐ見た。

私は思わず息を止める。

ほんの一瞬、
時間が止まったみたいだった。

次の瞬間、
チョンホは一歩、
私との距離を詰めた。

そして——

そっと、
私を抱きしめた。

突然のことに、
私は動けなかった。

でも、

チョンホの腕は、
驚くほど優しかった。

耳元で、
小さな声が聞こえる。

「…ごめん」

少し間があって、
チョンホは続けた。

「今日、会長の件がうまくいったら
あんずに言おうって決めてたんだ」

「最後まで手伝えなくて、
本当にごめん」

そう言うと、
チョンホはギュッと力強く私を抱きしめた。

チョンホの腕の中で
私は声も出さずに泣いていた。

夕方の風だけが、
静かに吹いていた。

あとがき

あんず

第8話をご覧いただきありがとうございます!

この時の私は本当によく泣く…

今は全然泣かないけどね
旦那も私の泣き顔を見たことないと思うし

いや、逆にたまには涙を流して
ストレス発散した方がいいと思うけどね

もしかしたら
30代で涙を流し尽くしたのかもしれない

チョンホ、遂に物語から退場です

\ よく当たる性格分析がポイント?/

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