
前回のあらすじ
チョンホはあんずを忘れる為に、日本語能力試験を理由にイベントからも離れることに。あんずはチョンホの決意を受け入れるしかなく、ただ落ち込む。

\ 私の友達もココで出会ってました✨/
第9話「揺れた心に近づく影」
scene 1
今日は、
ラファエルさんに誘われて
彼の大学の留学生会のパーティーに来ていた。
この春、
ラファエルさんは会長を降りて
新しい会長が立つらしい。
その紹介も兼ねたパーティーだと聞いた。
「なんか、世界が違うねー」
りんごちゃんが
周りを見渡しながらぼそっと呟く。
「ほんとだね……」
聞き慣れない言葉が飛び交って
みんな当たり前のように笑っている。
少しだけ、場違いな気がした。
いつもだったら
チョンホと一緒に来ていたと思う。
でも——
もう、チョンホはいない。
一人で来るのが心細くて
私はりんごちゃんに
「一緒に行ってほしい」って、
お願いしてしまった。
「あの人が、前話してたラファエルさん?」
りんごちゃんが
少し身を乗り出して聞いてくる。
「やっぱりかっこいいねー」
その言葉に
私は思わず苦笑した。
チョンホのことを考えてしまってて
ラファエルさんの存在、忘れてた。
せっかく、こんな場所にいるのに。
ふと顔を上げると
ラファエルさんがこちらに気づいて
まっすぐ歩いてくるのが見えた。
「ようこそ」
そう言って
自然に距離を詰めてくる。
「楽しんでる?」
顔を覗き込まれて
思わず目を逸らす。
「いや……ちょっと緊張してて」
「そうなんだ」
ラファエルさんは軽く笑った。
そして、
私の手首を軽く引く。
「こっちにおいで」
気づけば、
人の少ない場所へ連れていかれていた。
距離が、近い。
「大丈夫?」
少し低い声で
そう聞かれる。
私は小さく何度もうなずいた。
そのとき——
ラファエルさんが
ふと私の顔を覗き込む。
「今日、チョンホはなんで来てないの?」

scene 2
「チョンホは来ないです。
このイベントも、もう関わらないです」
言いながら、
喉の奥がぎゅっと詰まる。
このまま、
涙が出そうで——
「え…チョンホがそう言ったの?」
ラファエルさんは
はっきりと驚いた顔をした。
「あ…はい」
私は、小さくうなずく。
「そうなんだ…」
ラファエルさんは
少しだけ視線を落とした。
「意外だな。チョンホ、最後までやると思ってたのに」
その言葉に、
胸が少しだけチクっとした。
「あ、いや…
日本語能力試験の準備があるから…」
言い訳みたいに、言葉をつなぐ。
「もう、これ以上…
チョンホの邪魔はできないし……」
そこまで言ったときだった。
「あんずさん」
ふいに、名前を呼ばれる。
顔を上げると、
ラファエルさんがこちらを見ていた。
「あのさ」
少しだけ距離を詰めてくる。
「この後、2階のバー貸し切って、みんなで踊るんだけど」
一瞬、間を置いてから、
「参加するよね?」
「え…いや……
私、部外者だし…そこまでは……」
戸惑っていると、
ラファエルさんは
少しだけ笑った。
「だってさ」
ほんの少し、声のトーンを落とす。
「そんな泣きそうな顔してるのに、帰せないよ」
——ドキッとした。
「楽しい気分になると思うから」
軽く肩をすくめて、
「次も残って。お願い」

scene 3
チョンホが、このイベントに関わらない?
そんなわけない。
あいつが、途中で手を引くなんて。
あんなに惚れ込んでる
女の傍から離れるなんて。
チョンホが、そんな選択するか?
……いや。
するわけない。
ラファエルは、
少し離れた場所から会場を見渡した。
彼女は一緒に来た友達と並んで
グラスを手に持ちながら
何かを話している。
さっきからずっと、
無理して笑ってる。
あれは——
「納得してる顔」じゃない。
(何があったんだ?)
チョンホのやつ、
自分から距離を取ったのか?
それとも——
取らざるを得なかったのか。
ラファエルは小さく息を吐いた。
(あいつ、不器用だからな)
視線を外して、
思わず苦笑いをした。
(まあ……)
グラスを口元に運びながら、
(その隙、もらうけど)

あとがき
あんず第9話をご覧いただきありがとうございます!
これから死ぬほど後悔する出来事が起こります。




\ よく当たる性格分析がポイント?/











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