彼の心にまだ元カノがいます〜圭吾side〜 第5話

前回までのあらすじ

レイナにハマっていく圭吾だが、二人の関係にもだんだん陰りが見えてくる。

\ 私の友達もココで出会ってました✨/

目次

第5話「間に合わなかった覚悟」

scene1

俺が何度も思い出す夜がある。

その日、
レイナは珍しく静かだった。

甘えてこなかったわけじゃない。
いつも通り俺の腕の中にいる。

でも、
どこか一線を引いている感じがした。

「最近、忙しそうだね」

責めるでもなく、
探るでもない言い方。

「最近、調子よくてさ」
そう答えた俺に
レイナはそれ以上、踏み込まなかった。

仕事の話をすると
ちゃんと聞いてくれる。

頷いて、
相槌を打って、
「すごいね」とも言う。

でも、
その目は少しだけ遠かった。

「この先も、
私たちはずっとこんな感じ?」

ふいに聞かれて、
俺は言葉に詰まった。

本当は、
何も考えていなかったわけじゃない。

仕事帰りに
一度だけ
指輪を見に行ったことがある。

ガラスケースの中に並んだ指輪は
どれも現実味がなくて、
値段よりも、
その先の生活を想像してしまって
居心地が悪くなった。

店員に声をかけられる前に
店を出た。

「まだ早い」
そう思ったわけじゃない。

ただ
今じゃない、
そう言い聞かせただけだった。

scene2

そのことを
レイナには言わなかった。

言えば、
話が進んでしまう気がした。

進む覚悟を、
そのときの俺は
持てなかった。

いつか
タイミングが来たら。

忙しさが落ち着いたら。

そうやって、
「そのうち」を
先延ばしにしていた。

だから
正直に答えた。

「今は、
仕事が一番大事だから」

嘘じゃない。
逃げでもない。

でも、
それ以上の言葉を
用意していなかった。

レイナは、黙って俺の顔を見る。
そして、言った。

「そっか」

それだけだった。

泣きもしないし、
怒りもしない。

その静かさが、
一番こたえた。

それからだ。

連絡が減ったのは。

scene3

追いかければ、
返事は来た。

会えば、
いつも通り甘えてくる。

だから俺は
深刻に考えなかった。

考えないほうが
楽だった。

後になって知った。

レイナは
結婚したかったんだと。

誰かと、
ちゃんと生活を
作る気があった。

俺も
考えてはいた。

でも
伝えていなかった。

見せてもいなかった。

レイナは、
待たなかった。
責めもしなかった。

指輪を見たことも、
迷っていたことも、
全部、
俺の中にしかなかった。

それじゃ
何もしていないのと
同じだ。

麻薬みたいな時間に
酔っているうちに、

本当に大事な話を
後回しにしていた。

間に合わなかったのは
気持ちじゃない。

言葉と、
覚悟だった。

でも、
それを言葉にも、形にもできないまま、
時間だけが過ぎていった。

そして、
レイナからの返事が途絶えた。

あとがき

あんず

第5話をご覧いただきありがとうございます!

そこで離れたレイナは正解だと思う!

\ よく当たる性格分析がポイント?/

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